
3-2. 売却しやすい物件・しにくい物件の違い
──市場ニーズと行政手続きの視点から考える
1. はじめに
相続人不存在物件は、管理人(弁護士)の立場から見ても、売却のしやすさに大きな差があります。
市場ニーズの高さだけでなく、行政手続きの煩雑さや法的リスクが、売却期間や成約率に直結します。
本記事では、売却しやすい物件・しにくい物件の特徴を、現場経験と市場データの両面から整理します。
2. 売却しやすい物件の特徴
(1) 市場ニーズが高い立地
・駅徒歩10分以内
・商業施設や学校が近い
・再開発エリアや人口増加地域
→ 購入希望者が多く、短期間で入札競争が起こりやすい。
(2) 建物の状態が良好
・築20年以内の戸建・マンション
・定期的なメンテナンス履歴あり
・雨漏りやシロアリ被害などの致命的欠陥がない
(3) 権利関係が整理されている
・境界確定済
・未登記建物がない
・抵当権・差押えの抹消が済んでいる
3. 売却しにくい物件の特徴
(1) 市場ニーズが低い立地
・過疎地域や交通不便なエリア
・高齢化率が高く、人口減少が進む地域
→ 買い手が限定され、価格が下がりやすい。
(2) 老朽化が著しい建物
・築40年以上で未改修
・建物が傾斜している、雨漏りがある
・解体費用が高額になる可能性あり
(3) 行政手続きが複雑
・境界未確定地
・農地転用が必要な土地
・都市計画法・建築基準法による再建築不可物件
4. 管理人としての対応ポイント
(1) 早期の物件診断
不動産業者や建築士に依頼し、状態・権利関係・市場価値を事前に把握する。
(2) 行政との調整を前倒し
農地転用、開発許可、用途変更などの申請は時間がかかるため、売却計画の初期段階で着手。
(3) ターゲット買主の見極め
個人購入者向けか、不動産業者買取かを早期に判断し、売却戦略を組み立てる。
まとめ
売却の難易度は、物件そのものの魅力と手続きの複雑さの両方で決まります。
相続財産管理人としては、「市場ニーズ」「物件状態」「手続きの難易度」の3軸で早期評価を行い、戦略的に進めることが、期間短縮と高値売却のカギです。

