
5-2. 管理人選任に8ヶ月かかった理由(事例)
管理人選任に8ヶ月かかった理由
〜 裁判所の事情を踏まえたスケジュール管理の重要性 〜
1. はじめに
相続人不存在の不動産売却は、相続財産管理人の選任から始まります。
選任は家庭裁判所の権限ですが、申立から決定までに数か月以上かかることも珍しくありません。通常、選任決定までには数ヶ月かかりますが、このケースでは通常を大きく上回る8ヶ月を要しました
この遅延は「裁判所の仕事だから仕方ない」で終わらせるべきではなく、弁護士やサポートする不動産会社がスケジュールを組む際に織り込むべきリスクなのです。
2. 遅延が生じた背景
(1) 戸籍調査の複雑さ
相続人不存在かを確認するため、沖縄県から北海道まで、遠隔地の複数の市町村にまたがる戸籍を収集する必要があり、郵送と確認作業だけで数ヶ月を要しました
→ 事前に戸籍収集をある程度進めておけば、申立後の遅延を減らせます。
(2) 裁判所側の事情
家庭裁判所には管理人案件を扱う専門担当者が限られており、繁忙期や人員不足で案件処理が後回しになることもあります。また、担当裁判官や書記官の変更によって、手続きが一時的に停滞することもあります
→ 弁護士としては「すぐ決まらない」前提で動き、依頼者への説明に活用すべきです。
(3) 利害関係人への意見聴取
相続債権者や関係機関からの意見を確認するため、追加の時間を要しました。
→ 関係者の存在が見込まれる場合は、早めに資料を整えておくことが重要です。
3. 実務でできる工夫
・申立書類を完璧に整える
申立書類の不備で補正命令が出ると、再提出までに1〜2ヶ月の遅れが生じることがあります。提出前に、弁護士と不動産会社がチェックリストを用いて徹底的に確認することで、このリスクを回避できます
・戸籍や物件情報を事前整理
不動産会社や事務スタッフが協力して資料を揃えておけば、裁判所に提出する際の負担が減ります。
・裁判所との早期コミュニケーション
進行状況や追加資料の有無を早めに確認し、無駄な待ち時間を作らない工夫が大切です。
4. 実務上の学び
相続財産管理人の選任には半年以上かかる場合もあると見込んで計画を立てることが、依頼者への説明や売却スケジュール設計の現実的な対応になります。
「選任はすぐ決まる」と期待してしまうと、売却準備や近隣対応に無理が生じかねません。
5. 邦文不動産からの視点
管理人選任の遅延は、不動産の劣化や近隣トラブルを増やすリスクにつながります。
邦文不動産では、弁護士の先生方が複雑な戸籍調査に集中できるよう、物件情報や裁判所の整理といった不動産実務(物件情報・裁判所用資料の整理)を事前に支援し、スムーズなスタートをサポートしています。これにより、先生方は煩雑な事前準備から解放され、選任後すぐに不動産売却手続きに着手できます

