
5-5. 共有持分が存在した場合の複雑なケース
共有持分が存在した場合の複雑なケース
〜 登記手続きに難航した実務対応 〜
1. はじめに
相続人不存在の不動産でも、単独所有とは限らず「共有持分」が存在するケースがあります。
共有者が他にいる場合、売却や登記手続きは一気に複雑化し、相続財産管理人は慎重な対応を求められます。
2. 事例の概要
事例のBefore:当初の楽観的な見通し
当初、この物件は地方都市にある土地建物で、被相続人が所有する持分は50%でした。しかし、その土地には広い庭があり、建物の状態も比較的良好だったため、残りの共有者と協力し、全体を売却できれば高額な売却益が得られると見込まれていました。全体売却を前提とした査定額は3,000万円で、被相続人の持分だけで1,500万円の売却益が期待されていました。
事例のAfter:交渉決裂と価格暴落
しかし、この見通しは甘いものでした。共有者である遠縁の親族は、売却に全く協力的な姿勢を見せず、話し合いは決裂。結果として、全体売却を断念せざるを得ませんでした。
共有者の同意がない以上、管理人としては被相続人の持分50%だけを売却するしかありません。しかし、持分だけを購入する買い手は限られており、多くは不動産投資を専門とする業者になります。彼らは将来的なリスクを考慮し、市場価格よりも大幅に低い価格を提示します。
このケースでは、当初の想定額1,500万円に対し、最終的な売却価格はわずか500万円まで下落しました。共有者の非協力的な態度が、1,000万円もの損失につながったのです。
3. 売却が難航した要因
(1) 共有者の売却意思が不明確
共有者が売却に積極的でない場合、持分だけを売却するか、共有物分割請求訴訟に進むしかありません。
(2) 持分売却は買主が限られる
持分だけを購入するのは投資目的の専門業者に限られるため、価格が大きく下落しました。
(3) 登記手続きの複雑化
共有者が複数に分かれている場合、権利関係が複雑で登記簿の整備に時間を要しました。
4. 実務での対応策
・共有者への早期アプローチ
→ 不動産会社が間に入り、共有者の売却意思や条件を丁寧に確認。
・持分売却の現実的評価
→ 全体売却が難しい場合、持分売却を選択肢に入れつつ、市場での価格差を依頼者に説明。
・訴訟も視野に入れる
→ 協議が不成立の場合、最終的には共有物分割請求訴訟を行い、競売による解決に進むケースもある。
5. 学び
相続人不存在案件で共有持分がある場合は、法的な整理と実務的な交渉を同時に進める必要があります。
管理人(弁護士)は法務面を担当し、不動産会社が現場での共有者調整や価格評価を担うことで、ようやく出口が見えてきます。
6. 邦文不動産からの視点
邦文不動産では、共有持分付き不動産の扱いも実績があります。
弁護士の先生方が法的な整理(共有物分割請求訴訟の準備など)に専念できるよう、共有者との粘り強い交渉や、持分売却を専門とする業者とのネットワークを活かした査定・売却活動を代行します。これにより、複雑な共有案件でも『出口』を共に探し、円滑な解決へと導きます

